の導入事例

取材協力:2019.11

お客様に作成いただいたQRコード付入出金伝票で営業店業務を
大幅に削減

株式会社山梨中央銀行様


※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。


株式会社山梨中央銀行は昭和16年に創立された、県内唯一の地方銀行です。「地域密着と健全経営」を経営理念に掲げ、山梨県内を地盤に県内73店舗、西東京を中心に県外18店舗を展開しています。

2019年4月から新しい中期経営計画「Value+2022」を展開しており、顧客接点拡充、共通価値創造、人材活力向上に取り組んでいます。この中期経営計画に先駆けて、地方銀行の中でもいち早く行っていた施策のひとつに地場企業への行員派遣があります。地場産業を中心とした外部企業に2012年度からの5年間で50名の行員を派遣して、各分野に精通した専門性の高い人材育成を行い、コンサルティング業務の強化を目指しています。

そんな山梨中央銀行では、クラウドに取り組むというIT戦略の一環で、2016年にSalesforceを導入しました。最初に構築した来店予約システムを皮切りにSalesforceの活用が促進。2019年にはRayBarcodeを導入し、QRコード付伝票作成サービスを実現しました。SalesforceとRayBarcodeを活用した本サービスの開発の経緯や効果を、事務統括部 事務企画課 主任調査役 手塚一様、システム統括部 システム開発課 課長代理 諸角進介様、システム統括部 システム開発課 主任 鈴木真由美様、インフォテック山梨株式会社 ITビジネス部 ITソリューショングループ シニアスペシャリスト 竹下正泰様に伺いました。


【課題】毎月17万枚の伝票を手入力するオペレーションが負担

銀行の窓口業務には預金の入出金や振込、税金の納付など、様々な業務がありますが、基本的にはお金の出し入れが根幹です。中でも入出金業務の処理件数は最も多く、月に16~17万枚もの伝票を処理するそうです。そのうち法人は10~11万枚と、6割ほどを占めています。法人名義での入出金は、個人とは異なり伝票が1枚で済まないのが特徴です。

例えば10件で100万円の税金を納付する際、100万円の出金伝票を1枚作成する場合もありますが、10枚作成することもあります。その伝票は、営業店の行員が打鍵(データ入力)しなければなりません。これは行員の大きな作業負荷になるうえ、ミスは許されません。もし、打鍵ミスが発生すると、リカバリーも大変なため、行員に心理的な負担がかかっているそうです。

事務統括部 事務企画課 主任調査役の手塚一様は、この入力作業の負荷を課題に感じていました。そんな中、他の地方銀行で、QRコード付伝票作成サービスを取り扱っていることを知りました。

QRコード付伝票作成サービスは、お客様が手書きで起票した伝票を営業店の行員が打鍵するのではなく、あらかじめお客様のPCで伝票作成に必要な情報を入力していただき、QRコード付伝票をPDFファイルで出力する仕組みです。窓口では、この伝票をQRコードリーダーで読み込むことで、伝票内容が自動的に端末画面に表示されます。2019年3月、営業店の負荷の削減に向けて本サービスの導入が決まりました。

RayBarcodeの導入前の課題

  • 入出金伝票の内容を端末に手入力する作業負荷が高かった
  • 手入力することに起因する打ち間違えが発生していた

【導入】Shift_JISの対応とセキュリティが決め手で導入を決定

「2016年にSalesforceを導入したものの、最初はどういうことができるのか手探りで進めていましたが、開発担当者であるインフォテックの竹下さんと連携する中、まずは来店予約システムを開発してもらいました」とシステム統括部 システム開発課 主任の鈴木 真由美様。

竹下 正泰様は、インフォテック山梨株式会社 ITビジネス部 ITソリューショングループのシニアスペシャリストで、Salesforceの導入支援を行っています。

山梨中央銀行 システム統括部 システム開発課 主任 鈴木真由美様
鈴木 真由美様
山梨中央銀行
システム統括部 システム開発課 主任

QRコード付伝票の作成について開発を依頼された際、竹下様はいろいろなアプローチを模索しました。QRコードの生成をjQueryで自作したり、Google APIを使ったりしたそうです。どの方法でも必要な機能を実現することは可能ですが、金融機関のシステムの場合セキュリティが確実に担保されることが必須条件となり、これらは採用に至りませんでした。また、導入に際しては可用性についても重視したとのこと。「例えば、Google APIなどはいつ仕様が変わるかわかりません。ある日急にAPIが利用できなくなることでQRコードが生成できずにサービスが止まってしまうのは銀行として大きなリスクです。そこで、突発的にシステムの仕様が変わらない仕組み作りという着眼点も導入の条件になりました」とシステム統括部 システム開発課 課長代理の諸角 進介様。

山梨中央銀行 システム統括部 システム開発課課長代理 諸角進介様
諸角 進介様
山梨中央銀行
システム統括部 システム開発課課長代理

開発における最大のハードルは文字コードでした。入出金伝票のQRコードを読み込み、自動入力させる端末の文字コードがShift_JISでなければ対応できないのです。

「UTF-8に対応しているQRコード生成ツールはいくつかあるのですが、Shift_JISに対応しているものを探すのに苦労しました」と竹下様。UTF-8からShift_JISへの文字コード変換を内製することにもチャレンジしたそうだが、どうしても文字化けが発生してしまいました。

そこで、たどり着いたのが、Shift_JISにも対応しているRayBarcodeでした。

グレープシティさんの場合、多様な文字コードに対応しているうえ、セキュリティ面でも信頼できます。例えば、入力情報に口座番号が含まれているので、QRコードを生成する際にSalesforceから送信するデータが暗号化されていないhttpプロトコルでは送ることはできませんが、グレープシティさんのRayBarcodeはhttps通信に対応していますし、SalesforceのAppExchangeの審査にも通っているので導入を進めました」(竹下様)

採用が決定したあとは、AppExchange(Salesforceストア)からRayBarcodeをインストールしシンプルなコードを実装するだけなので、とても簡単に導入できたそうです。竹下様は、「導入してからあっという間に開発できてしまったので、正直、今までの苦労は何だったんだろうと笑うしかありませんでした」とのこと。

インフォテック山梨株式会社 ITビジネス部 シニアスペシャリスト 竹下正泰様
竹下 正泰様
インフォテック山梨株式会社
ITビジネス部 シニアスペシャリスト

【効果】10分の待ち時間は5分に削減、カナ摘要サービスも実施できた

QRコード付伝票作成サービスは、2019年9月にリリースされました。山梨中央銀行のホームページ上で入出金の種別、口座名義、口座番号、金額、カナ摘要などを入力すると、QRコード付の伝票(PDF)が作成されます。それを印刷し、出金の場合はお届出印を押印し、店頭に持参していただければ、入出金の取引を行うことができます。

「お客様は伝票作成の負担が軽減されたと思います。入力した情報はPCに保存が可能ですので、次回作成時には口座番号や口座名義を入力する必要がありません。特に法人のお客様では、「○○○株式会社代表取締役△△ □□」というような口座名義を都度入力する必要がなくなるのは大きなメリットであると認識しています。」(手塚様)

山梨中央銀行 事務統括部 事務企画課 主任調査役 手塚一様
手塚 一様
山梨中央銀行
事務統括部 事務企画課 主任調査役
導入前と導入後の比較
▲ RayBarcodeの導入前と導入後
導入前と導入後の比較
▲ Web入力フォームと生成されたQRコード付伝票

銀行側の処理が早くなることで、お客様の窓口での待ち時間を短縮できるという効果があります。例えば、10枚の伝票を処理するのに従来は10分くらいかかることがあったのですが、QRコード伝票なら5分で処理できるそうです。

また、伝票の内容を手入力で端末へ打ち込む場合、端末への入力内容が伝票と合っているか確認作業も発生します。伝票が100枚あれば100枚検証しなければならないのです。しかし、QRコードにはお客様が入力した内容が登録されているため、打鍵時の検証作業が不要になり、効率化が図られています。窓口の行員だけでなく、上席の検証作業も大きく削減されたそうです。

さらに効果があったのはカナ摘要です。カナ摘要とは「10ガツブンウリアゲ」のように、通帳の金額の横に印字される補足情報のことです。企業の場合、その取引が何のために行われたのかわかりやすくしておきたいというニーズがあるのです。しかし、山梨中央銀行では、カナ摘要の印字サービスは行っていませんでした。

以前は伝票に書かれたカナ摘要を行員が端末に入力していたのですが、オペレーション負荷が非常に高いため、平成23年の勘定系システムの更改に伴って廃止したのです。しかし、QRコード付伝票作成サービスであればお客様が入力したカナ摘要がQRコードに登録され、これを読み取ることで、自動的に端末画面に表示されるため、行員の入力作業が発生しません。これを機にカナ摘要の印字復活させることができたとのこと。カナ摘要を入力したQRコード付伝票の数は計測していないのですが、手塚様によるとすでに多くの方に使われているそうです。

QRコードに登録されたカナ摘要を自動で読み取り、画面端末に表示。通帳にも記載される
▲ QRコードに登録されたカナ摘要を自動で読み取り、画面端末に表示。通帳にも記載される

まだリリースして数ヶ月しか経っていませんが、すでに1ヶ月間に3,500枚以上のQRコード付伝票が作成されており、順調に効果が現れています。

「取引の多い普通預金の入出金から始めましたが、QRコード付伝票作成サービスの取扱業務を増やしたいと考えています。まだ構想段階ですが、振込や定期預金の伝票、税金収納などのメニューを増やしていきたいです」(手塚様)

セキュリティを重視する金融機関でも、RayBarcodeにより大幅な業務効率の改善を実現できました。振込作業は入出金とは比べ物にならないほど面倒とのことなので、QRコード付伝票作成サービスへ実装されれば、さらに大きな導入効果が期待できます。山梨中央銀行のサービスが今後も充実していくのは間違いなさそうです。

RayBarcode導入後の効果

  • 人による入力や検証作業を大幅に削減できた
  • お客様を待たせる時間を最大半分にできた
  • カナ摘要を印字するサービスを復活できた

企業情報

株式会社山梨中央銀行様

株式会社山梨中央銀行様

本社所在地
〒400-0031
甲府市丸の内一丁目20番8号
創立
1941(昭和16)年12月1日
事業内容
銀行業
お問合せ先
https://www.yamanashibank.co.jp/contact/
Webサイト
https://www.yamanashibank.co.jp/
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